インストアLIVEのあの光景はもう見られないのか

Twitterを覗いていたら衝撃的な写真を見つけてしまった。


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これがソーシャルディスタンスを保って開催された場合のLIVE会場らしい。スカスカではないか!
赤字にしかならないではないか。
当然キャーキャーワーワーもしちゃいけないとか、マスクしろとかいうことも追加になるのだろうが、これでは拷問だ。
トシちゃんがステージに出てきたら、条件反射で叫んでしまうにきまっている。

LIVE活動は一体どうなってしまうのだろうか。

もう気にしても考えてもどうしようもないんだけど、そう思えば思うほどやりきれなくなってくる。

トシちゃんLIVEが観たいんだ!私は!

毎年夏の終わりから始まるトシちゃんのLIVEを見に行くことで、日ごろの溜まりに溜まったストレスを発散して、来年もここにトシちゃんに会いに来るために頑張ろうと思う・・・これはもう儀式なのだ。生きていくための儀式。
他人のことは知らないけど、私にとってはそうなのだ。


1980年6月に哀愁でいとでデビューしたトシちゃんだが 同じ年の12月にはたのきんでユニットを組んでいた近藤マサヒコがデビューする。
彼がいたことで、トシちゃんはいろいろな面で、いろいろな思いをしたことがあったと思うが・・・(ちょっと何言ってるか分かんないっていう人もいるだろうけど、スルーしてください)周年というのもその一つ。
本来なら10周年は1980年の10年後となるところだけど、トシちゃんの10周年は1989年なのだ。
1990年に10周年を迎える人が他にいたため、1年早く周年を数えさせられた。
ちなみにトシちゃんの同期と言えば、言わずと知れた松田聖子であるが、彼女はそういう譲らされる存在がなかったためか、普通に今年が40周年である。

トシちゃんが昨年2019年が40周年だったのにはこういう事情があったのだが、昨年40周年を迎えられたことが、幸いする。
今年だったら、周年を祝うイベントを開催できなかったかもしれない。
そういう意味で、昨年、NHKホールLIVEも、気志團万博への出演も無事にできたことを心から良かったと思うのだ。

その気志團万博の映像をWOWWOWで放送されたのを見たが、凄かった。
あれが密じゃなくて、何が密なのかというくらいだが、今から思うとあの光景は憧れ以外の何ものでもない。あの日、トシちゃんのステージを見るために、老若男女何万人という人があの会場にいた。
途中で「後ろ~!!!」とトシちゃんが遥か彼方にいる観客に手を振っていたが、会場からに映し出されたモニターを見ていたのであろう観客からあまりの人の多さにどよめきが起きていたほどだ。
擦り切れるくらいあの映像を見て、鳥肌がゾワゾワ立った。
あの大観衆から地鳴りのような大声援を浴びて、トシちゃんはものすごくいい表情をしていた。
この人には大きなステージがやっぱり良く似合うと思った。

だが、トシちゃんにとっては、ステージの大きさなんてどうでもいいのだろう。
何故なら、ショッピングモールで行われたインストアLIVEでも彼は気志團万博と全く同じように一切力を抜かず、汗びっしょりで歌い踊り、四方八方に手を振り、笑顔を振りまいていた。見に来た人の表情は気志團万博も中野サンプラザもショッピングモールも変わらない。みんなを幸せな笑顔にしてしまう。
本物はステージを選ばないのだと、この人を見ていると思う。

話がインストアLIVEのことになったので、今日はその話を書こうかと思う。

トシちゃんは事務所独立後も毎年シングルを出している。あまり知られていないことかもしれないが、ずっと途切れずにどんな時も継続している。

不遇の時代も腐らずシングルを出し続け、会場が小さくなってもLIVEを欠かさずやる。これを頂点を極めた大スター田原俊彦はやってきた。
トシちゃんのシングルがコンスタントにオリコン30位以内に入ってくるようになったのはここ何年かのことだ。
インディーズ時代も経験したトシちゃんが、メジャーレーベルであるユニバーサルに移籍したのは2017年。
この頃になると、オリコンダウンロードでは1位となり、デイリーランキングでトップテン入りするようになる。
なかなか描けないV字回復である。

しかし、そのデイリーランキングTOP10入りに大きく貢献していたのがこのインストアLIVEでのCD販売だったと思う。
インストアLIVEでの販売会場でCDを購入すると握手券がついてくる。
ここ数年、東京のリリースパーティーはもちろんのこと、私も何か所かの地方のインストアLIVEへ足を運んでいる。
この映像がどこかにあったと思うが、探すのが面倒なので貼るのはやめておくが、まあ物凄い人だった。
動画でも上がっているから様子は分かるかもしれないが。

場所によってはあまりに人が多くエスカレーターが危険回避のため、停止になっていた。
吹き抜けの会場の3階まで、これでもかというくらい人で溢れていた。
トシちゃんが近くのイオンモールに来る!ということを知って、わざわざ来た人もいたし、通りすがりの人もいた。もちろん、会場にかけつけたファンも大勢いた。

トシちゃんがショッピングモールで営業なんて落ちぶれたものだ・・・・などということを言う人もいる。
ドームやアリーナでライブをすることが凄い事だなどとは全く思ってない。最近はデビューしたての何の実績もない人たちが大きな事務所に属しているからということで、簡単に大きな箱でコンサートやったりしているみたいだけど、それって凄い事でも何でもないと思っている。
だけど、私も最初はなぜ、ショッピングモール???トシちゃんだよ・・・と思ったものだ。
何も知らないなんと浅はかな考えだったか、私は後で思い知らされることになるのだが。

インストアLIVEというのは、新曲などをリリースした際にプロモーションのために行うもの。当たり前だけど、ショッピングモールなどのオープンなスペースはファンはもちろん集まるだろうが、固定のファン以外のどれだけの人の足を止めることが出来るかというある意味、ものすごくシビアなイベントである。
昭和のアイドルはデパートの屋上とかでこういうイベントをやって握手会とかやっていたし、池袋のサンシャインの噴水広場とかでは誰かしらが今も、やっていることではあるが、大物になればなるほどなかなかやってくれないことだと思う。
これ、ネームバリューがあればあるほど、かなりの自信がないと出来ないことだ。
理由は言わなくとも分かると思うが。

私はこういい仕事についているわけではないので、あくまで想像だけど、間違いなく自分のファンがお金払って見に来るLIVEの方がどれだけ気持ち的に楽かと思う。
ファン以外に足を運ばせること、足を止めさせることが出来るということは凄い事だと思うのだ。

それでも・・・である。なぜ、トシちゃんがこんなところで握手会なんてするんだという考えがなかなか拭えないでいた。

それが、ある日、ああ、こういうことか・・・と分かった。
その瞬間、私は固定観念に縛られ、こういう場所でイベントすることへの偏見とか思いこみがあったことを心から恥ずかしく思った。

それは35周年のエムオンLIVEの時、放送の合間に流れていたインタビュー。


ファンとの関わり方に違いは?という質問について、トシちゃんは次のように答えていた

皆さんも年齢重ねるわけで、自分の人生あるわけですが、その中で時間作ってお金使って、僕に会いに来てくれてステージ見てくれてまた明日からの元気になるって思ってくれる・・・そういう人たちって47都道府県全国津々浦々、たくさんいるんですよ。
たまに来る手紙で、いまだにファンクラブに初めて手紙出しましたという人もいて、実際問題として自分の生活があって、なかなかトシちゃんのコンサートに足を運べないっていう人もいる。だから、僕が頑張って、僕がみんなのところに足を運んで「来たよ!」って言えるような田原俊彦になれるように力つけていかないといけない。


ずっと継続してライブをやってくる中、東名阪の3か所のみのLIVEという年も続いた。
地方でライブをできるには、力がないといけないことをこの人は身をもって知っていたのだ。
トシちゃんの主なファンの年齢層である40~60代、この頃は、自分の仕事、親の介護、自分の病気とか、本当に様々な問題を抱えて家を離れることが出来ない人が多い。
集客は都会が間違いなくできる。だけど、都会でしかライブをできないということは、地方に住む人で都会に泊りがけで来ないといけない人にとっては諦めないといけなくなってしまう。
ローカルでステージを見てもらえる場所をできるだけ多く作る・・・・地方でのLIVE会場ももちろんそうだけど、インストアLIVEだってやる。
そこなら来られる人がいるかもしれないから。
そのために、地方でもステージをできる力を付けたい・・・・そうこの人は言っていたのだ。

ショッピングモールであろうと、どこであろうと、関係ない。自分に会いに来てくれる人が一人でもいたら、そこはステージであり、自分の全てを魅せる場所。
インディーズからレーベルがメジャーのユニバーサルになっても、トシちゃんはこのインストアLIVEをやめようとしなかった。


トシちゃんがどんな会場であろうと、手を抜かず、目の前の人を魅せることに徹している姿の根底に、こんな想いがあったことを知り、ショッピングモールでなんてと一瞬でも思って自分が恥ずかしくなった。

人が年々増えていくのをこの目で見て来た。
ライブ会場も完売、完売、完売となっていく推移を目頭が熱くなる思いで見ていた。

何度も言うが、こんなことをデビューから40年経って、成し遂げる人は他にはいないと思うのだ。

今年のリリースイベントは開催は難しいと思う。
6月に予定されていた豊洲のリリースパーティーは開催見合わせと発表された。
CDの発売自体が8月に延期となった。
何月になってもあれだけの密を作り出すインストアLIVEは開催されることはないと思う。
これから先、あのイベントがあるのかどうかは今のところ分からないけど、間違いなくトシちゃんのV字回復を支えたあのインストアLIVEの熱いエネルギーを私は忘れることはないと思う。


インストアLIVEのあの光景はもう二度と見られないのだろうか。