逆風上等
前回のブログも大きな反響いただいたようだ。
あれから四半世紀と言う時間が流れていても、当時を思い出すといまだにあのとき感じた無力感と怒りがこみ上げてきて、悔しくて…悲しくて、どうにもダメだということが自分でも驚きだった。
自分の中で消化できてない感情が湧き上がってきてしまうようだ。
許すことが大事などと言う平和主義者もいるが、私には到底無理だ。それが未熟と言われても、それで結構だと思っている。
大切な人が苦しみ、傷つき、辛い思いをしている時に何もしてあげられなかったことほどつらいことはない。
逆に言えば、誰かを叩きのめし、大バッシングを浴びせると言うことは、これだけ人の心に影を落とすことなのだ。
あの時、トシちゃんだけではなく、トシちゃんを大切に思う人たちも何も悪いことをしていないのにもかかわらず、深く傷ついた。
叩きのめすのに必死で、自分が正義だと勘違いしている人間は、人を叩く快感に酔いしれ、傷ついている人に思いを馳せることが出来なくなってしまうのだろう。
これだけの人権侵害が起こったと言うことを大して問題視してないどころか、かえって面白がるような世間の風潮にも警鐘を鳴らしたい。
もちろん、本人に問題があった場合はそれなりに批判を浴びることは必然なのだと思うけど、あの会見~独立の最中の理不尽なバッシングは、明らかにマスゴミの悪意にまみれた編集と偏向報道による一般大衆の扇動であり、集団ヒステリーのような異常さだったということを改めて記しておく。
しかしながら、改めて感じさせられたことは、あの理不尽さと非情さに打ち勝ち、どんな嫌がらせにも裏切りにも圧力にも屈せず、しぶとく生き延びた田原俊彦という存在の偉大さと精神力の強さだ。
その根底にあるのは、「自分を信じる力」なのだと思う。
自分を信じる・・・多くの人が使う言葉かもしれないけど、いい時も悪い時も実践できる人は実はとても少ない。
おそらくトシちゃんには、絶対的に愛され大切に育ってきた過程で、しっかりと自己肯定感が根付いていたのだと思うのだ。
いい時はともかく、悪化し思うに任せない状況が続けば人は卑屈になるし、ネガティブになるのが普通だ。頑張ってもどうせダメだと諦めてしまったり、何とかしようと足掻いたり、誰かを責めたりしてしまう。
状況が悪い時の姿勢や態度こそ、その人の人間性を最も如実に表すのではないかと思う。
かなり昔の朝日新聞の記事を掲載させてもらう。この記事に書いてある言葉を読んで、私は自分の人を見る目の確かさを誇らしく思った。
今に見てろ、必ずひっくり返してやる。自分を信じていれば大丈夫。いつかみんな帰ってきてくれる・・・
状況が悪い時に、こう言い切れる自信と強さは、厳しい時代を生き抜く時上で最も必要な力だ。
ただ闇雲に信じているのではなく、トシちゃんには確信があったのだと思う。
もし、トシちゃんのイメージを、軽そう、へらへらしてる、チャラチャラしてる・・・そんな風に感じている人がいるとしたら、ハッキリ言って、アンタらの目は節穴だ。
実際の彼はプロフェッショナルであり、職人だ。
真のエンターテイナーとして魅せ続けるその姿は、湖面を優雅に泳ぐ白鳥が、実は水面下で休むことなく足を搔き続けているのに似ている。
血のにじむような努力やハードスケジュールの疲れを微塵も感じさせることなく、軽やかで明るく爽やかな笑顔だけを纏いながら、華麗に優雅に踊り、生で歌って魅せる。こういうことを40年やり続けてきている人なのだ。
「田原俊彦のステージは凄いらしい。」「一回、行ってみたい。」
かつて、トシちゃんの歌を酷評し、良さが分からないなどと言っていた人たちにも、そう思わせるまでになっている。
この記事にあるように、一時は確かに観客動員数に苦しんだ。会場もzepp
などのライブハウス系で東名阪の三か所だけだったりした時期もあった。
それも満席になるという状態ではなかったと思う。客席の空席がステージから目に入らない訳がない。
だけど、それで終わらないのが田原俊彦だ。
他のことには一切手を出さず、ステージで歌って踊ることに拘り、そのステージでファンを魅了し続け、離れていたファンを引き戻し、この記事の言葉通り、「必ずみんな戻ってきてくれる」を現実にした。
自分が選択し、継続してきたステージで歌って踊ることで、観客動員数を回復させ、ファンクラブの会員数を増やし続けている。
40周年という節目で全国ツアーを行い、NHKホールでのライブも完売させた。
これが彼が真のエンターテイナーであると言い切れる所以だ。
エンターテイナーとは自分の芸、特技、パフォーマンスで人を披露することで人を楽しませる人と言う意味だ。
トシちゃんはデビューした頃から一貫して「歌って踊れるエンターテイナー」になることが夢であると語っている。そしてそれを本当にやり続けている。いい時だけではなく、それこそ悪い時でもずっとだ。
テレビに出る機会も激減し、もう終わった人のように世間から揶揄され、バカにされ続け、これでもかと誹謗中傷され、普通はここまでされたらもう終わってしまうと思う。
だが、どんなに総力上げて潰そうとしても、この人は決して潰れなかった。
この人は常に前しか見てなかった。上しか見ていなかった。
自分の進む道しか見ていなかった。
他人などどうでもいい。自分がやるべきことを、自分を信じてやり続けた。
吹く風が順風だろうと、逆風だろうと、やることは変わらないという信念を貫いたことに心から敬意を表したい。
逆風の最中でも自分を信じる強さを持ち続け、「田原俊彦」を継続してくれたことには感謝しかない。
皆、多かれ少なかれ、人生の浮き沈みがある。そのふり幅が人並外れて大きかったトシちゃんの言葉には、説得力がある。
トシちゃんはいつも道を示す人だ。そういう星のもとに生まれた選ばれし人だ。
道を切り開き先頭に立って歩み、時代の象徴として向かい風に晒されながらも決して歩みを止めない人だ。
アイドル道というものがあるのだとしたら、彼こそその道の師範である。
今の時点では、彼を正当に評価できる人は限りなく少ないのかもしれない。
だが、何年も経って真実が見えて来た時、そこに揺るぎなくあるものこそが、浮き上がってくるはず。
本物は時間がかかっても必ず最後に認められると私は信じている。